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樺太國有林經營概要の画像

 

 林政文庫について

林政学研究室について   

 東京大学大学院農学生命科学研究科林政学研究室は、明治23(1890)年に帝国大学農科大学林学科に第三講座として開設され、官房学(カメラリズム)を扱う部署として、山林局をはじめとする政府機関への人材を輩出し、また交流してきました。駒場にあった東京帝国大学農学部が昭和10(1935)年に現在の弥生キャンパスに移転してからは、昭和22(1947)年に東京大学への名称変更があるものの、一貫して農学部1号館に研究室を構えています。

 歴代の教授の顔ぶれを簡単に振り返ると、初代教授の川瀬善太郎は公有林野や狩猟に関する研究を残しています。太平洋戦争が始まる昭和16(1941)年までの時期を勤めた二代教授・薗部一郎は国家資源造成のために尽力し、戦中・戦後を担った三代教授・島田錦蔵は『森林組合論』や『江戸東京材木問屋組合正史』など数多くの成果を上げました。四代教授・倉沢博は林業基本法や入会林野近代化法など1960年代の重要法案に関わる一方で、東大紛争のために苦しみます。入会林野や森林法、森林文化論など幅広い研究成果を残した五代教授・筒井迪夫は現在もご活躍ですが、林業労働分野で輝いた六代教授・福島康記は残念ながら東北大震災の直後にお亡くなりになりました。なお、福島前教授の業績に関しては、東京大学学術機関リポジトリにほぼすべてが収録されています(リンク)。

 研究室の設立から125年が過ぎようとしています。現在は、七代教授・永田信のもと、准教授の古井戸宏通、助教の竹本太郎および事務員2名で研究室を運営しています。

「林政文庫:農林行政史料アーカイブズ」   

 設立当初から、林政学研究室には、山林局や地方山林課をはじめとする行政部署の発行する調査報告や統計書などの多くが研究室に寄贈され、情報が共有されてきたと考えられます。とくに明治期から昭和戦前期にかけての道府県や植民地に関する資料のなかには、他機関では所蔵されていないものも含まれており、大変貴重です。戦後になってからも、多くの報告書が林野庁をはじめとする行政部署や研究所より寄贈され、また時には調査・分析の担当者として報告書を刊行しています。

 「林政文庫:農林行政史料アーカイブズ」は、林野行政との密接な関係を100年以上持ち続けてきた林政学研究室が所蔵する農林行政史料を書誌採録し、一部を画像公開するものです。

 今回、画像公開するものには、『足尾國有林復舊事業雜録』『山東省西部膠済沿線林業調査』『長白山脈林况調査復命書』など調査報告書や、『上毛林業冩眞帖』『新竹州林業要覽』『十和田蔦八甲田保護林』など地方における刊行物があります。また、画像公開にいたらず、書誌採録にとどまった戦後の報告書には、林業発達史資料シリーズや林業経営研究所研究報告シリーズ、林業金融基礎調査報告シリーズなどが含まれています。

書誌採録と画像化の経緯と今後の作業   

 「林政文庫:農林行政史料アーカイブズ」の作成にあたっては、「平成26年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費・データベース・課題番号268052)」の支援を受け、平成26(2014)年度事業として、約3,000件の書誌採録を行い、そのうち林政学研究室所蔵分2,027件のなかから、696件を画像化しました。画像ビューワー「KmView」は、株式会社国際マイクロ写真工業社よりご提供いただきました。

 平成26(2014)年度事業としては上記の通りですが、本アーカイブズが将来的に採録したい書誌の全体構成は、東京大学農学生命科学図書館が所蔵する「旧農経資料」の国内戦前期資料6,500件および外国語資料600件、植民地関係史料3,000件と、林政学研究室が所蔵図書館への移管済みを含む、明治期~昭和戦前期の国内および植民地に関する「林政古書」2,500件および戦前から戦後にまたがる「林野庁報告書」2,100件、林政総合研究所から移管された報告書の「林政総研移管」300件となっています。さらに、これら約15,000件の書誌のなかで稀少性の高いものから徐々に画像化を進めます。

 画像の公開にあたっては、著作権の保護に細心の注意を払っておりますが、抵触する文献がある場合は公開を差し止めますので、ご連絡くださいますようお願いします。